争族を防止する遺言書を作成する3つのポイント

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生前に遺言書を作成しても、その内容によっては、相続が「争族」となってしまう可能性があります。
今回は、「争族」を防止する遺言書を作成する場合の3つのポイントについて見ていきましょう。

☆☆参考☆☆遺言に関する記事はこちら
今さら聞けない、遺言を準備する前に知っておきたいルールとは

1.遺言書が特に必要なケース

次の①~⑩のようなケースでは、相続の時にトラブルが起きる可能性があるため、遺言書が特に必要なケースといえるでしょう。

遺言書 必要なケース

2.遺言書作成のポイント

遺言書を作成する際は、次のポイントをチェックしておきましょう。

①特定遺贈により作成し、全ての財産について遺言する

遺贈には、「包括遺贈」と「特定遺贈」があります。
包括遺贈とは、遺産の全部・全体に対する配分割合を示して遺贈することをいいます。
例えば、「全財産の3分の1を〇〇に与える」ということです。
一方、特定遺贈とは、遺産のうち特定の財産を示して遺贈することをいいます。
例えば、「株式会社〇〇の株式を△△に与える」ということです。
包括遺贈の場合、その割合に基づいた遺産分割が必要となります。
したがって、相続時のトラブルを防止するためには、特定遺贈ではっきりと帰属先を明記しておく必要があります。遺贈と死因贈与 包括遺贈例

遺贈と死因贈与 特定遺贈

②不動産や自社株は、相続後に利害が対立しないよう配慮した遺言にする

分割することが難しい不動産や、会社の支配権に影響する自社株は、相続後に利害が対立してトラブルに発展する可能性があります。
トラブルにならないよう配慮した遺言をする必要があります。

遺言書 不動産と株

③未登記の不動産について遺言書に記載漏れがないように注意する

未登記の不動産であっても、忘れずに遺言書に記載をしておきましょう。

④遺言書を書き換える場合、前の遺言書を撤回する旨を記載し、改めて全ての遺産について遺言する

いったん遺言書を作成した後、気が変わるなどした場合、遺言書の全部または一部を、遺言書の方式に従い撤回することができます。
遺言書の撤回は、遺言者の意思のみにで何度でも行うことができます。

⑤受遺者が遺贈の効力発生前に死亡したなどの場合、遺贈したい財産を誰に遺贈するかを記載しておく

受遺者が遺贈の効力発生前に死亡した場合や、受遺者が遺贈を放棄したなどの場合には、他の者に遺贈を行うことを「補充遺贈」といいます。
遺言書に記載したとおりに受遺者へ遺贈できない場合、誰に遺贈するかを遺言書に記載しておきましょう。

※あくまでも受遺者が遺贈の効力発生前に死亡した場合であって、効力発生後ではありませんので注意してください。

⑥遺言執行者を定めておき、預金の解約権限や解約金の受領権限、貸金庫の開扉権限等を付与しておく

遺言執行者とは、遺言者が死亡し、遺言の効力が生じた後に遺言書に書かれた内容を、その通り実行する人をいいます。
相続人や受遺者がなることも可能です。
遺言執行者を定めておき、預金の解約権限や解約金の受領権限、貸金庫の開扉権限等を付与しておきましょう。

⑦推定相続人に対して遺言する場合、「相続させる」と記載

遺言書において、「〇〇の財産を××に遺贈する」と記載するのと、「〇〇の財産を××に相続させる」と記載するのには、大きな違いがあります。
「相続させる」旨の遺言は、相続人に対してのみするこができます。相続人でない第三者に相続財産を承継させる場合には、遺贈させるしか方法がありません。

承継する財産が不動産であるとき

承継する財産が不動産であるとき、遺言書に「遺贈する」と記載した場合、他の相続人とともに、不動産の所有権移転登記をしなければなりません。
したがって、他の相続人が反対すると、所有権移転登記をすることが難しくなります。
一方、遺言書に「相続させる」と記載した場合には、承継した相続人が、他の相続人がいなくても単独で、所有権移転登記をすることができます。

承継する財産が借地権・借家権の場合

遺産が借地権や借家権の場合、「遺贈する」との遺言があった場合では賃貸人の承諾が必要となりますが、「相続させる」遺言があれば賃貸人の承諾は不要です。
遺言書 相続させる 遺贈する

相続財産のうち特定の財産、特に不動産を、特定の相続人に承継させたい場合、遺言書に「相続させる」を記載することで、スムーズに承継させることが可能となります。

⑧「財産」のみならず、「お墓や先祖の供養」及び「父母の扶養介護」についても遺言しておく

お墓や先祖の供養について引き継ぐ人を祭祀継承者といいます。祭祀継承者となるのは1人です。
相続人の間で、誰が祭祀継承者となるかをめぐってトラブルになるおそれがあります。したがって、生前にあらかじめ取り決めておくか、遺言書において指定しておくことによって、トラブルを防止することができるでしょう。

⑨安全確実な公正証書による遺言書作成が望ましい

公正証書による遺言書とは、被相続人が口頭で伝えた内容を公証人が書き記す形式で作成される遺言です。
手数料はかかりますが、公証人によって作成されるため、法的不備による無効となるリスクは少なく、また公証人役場にて原本が管理されるため、紛失、改ざんの恐れもありません。
また、遺言は公証人役場で作成されますが、寝たきりの状態で、公証人役場へ出向くことが出来ない場合も、公証人が出張して遺言を作成する事が出来ます。

※参考:遺言書の種類

遺言の種類

⑩遺留分に配慮した遺言書作成が望ましい

遺留分とは,一定の相続人のために,相続に際して法律上取得することが保障されている遺産の一定の割合のことをいいます。
遺留分は、法定相続人のうち、配偶者、子、直系尊属(父・母・祖父母・孫)に認められています。兄弟姉妹に遺留分はありません。
被相続人が相続人間の遺産相続トラブルを防止するために前もって遺言を作成したつもりであっても、遺留分に配慮しないで作成してしまった遺言は、のちに相続人間でトラブルになる可能性があります。
遺言によって、相続人の遺留分が侵害されている場合でもその遺言は有効です。ただし、遺留分減殺請求権が行使されたときに、その侵害された部分について無効になります。

3.秘密証書遺言

上記 2.遺言書作成のポイントにおいて、公正証書遺言での作成が望ましいと述べました。確かに、安全性重視の観点から公正証書遺言は多く採用されています。
しかし、書換えに時間がかかるので、状況の変化(賃貸建物の新築、所有不動産の譲渡・交換、新たな不動産の取得等)にはいったん秘密証書遺言を採用するのも選択肢の一つです。
秘密証書遺言の作成は、費用が一律11,000円と割安です。

まとめ

相続におけるトラブルを防止するため遺言書のポイントについて、以下にまとめます。

①遺言書が特に必要なケースがある。
子がなく、配偶者と親・兄弟姉妹が相続人となる場合や生前お世話になった第三者に財産を渡したい場合など

②遺言書の作成において、10のポイントに配慮が必要。

③不動産の状況の変化などがあった場合、秘密証書遺言を採用するのも選択肢の一つ。

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