相続税において知っておきたい3つの税額控除

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相続税には、いくつかの税額控除制度が設けられています。なぜ、このような制度が設けられているかというと、各相続人の事情に配慮して、相続税の負担を少なくするためです。

今回は、税額控除制度の中の「配偶者の税額軽減」、「未成年者控除」、「障害者控除」の3つをご紹介します。

☆☆参考☆☆相続人と相続割合等に関する記事はこちら
相続人とは?知っておかないと相続が「争族」に!?

1.相続税の計算手順
2.配偶者の税額軽減
3.未成年者控除
4.障害者控除

1.相続税の計算手順

相続税の税額控除は、相続税の計算におけるステップの一つです。

相続税の計算手順を、次の図で確認しましょう。

税額控除 相続税の計算手順

2.配偶者の税額軽減

配偶者の税額軽減とは

配偶者の税額軽減とは、算式(※後述)で求めた金額が配偶者の相続税額から控除される制度です。
配偶者の税額軽減は、2点を考慮して講じられた措置です。

①配偶者に対する相続税は、同一世代間の財産移転で、遠からず次の相続が起こり、その際に相続税が課税されるため

②長年共同生活を営んできた配偶者への配慮、被相続人の死亡後における、遺された配偶者の老後の生活の保障、被相続人の遺産の維持形成に対する配偶者の貢献への考慮などのため

控除金額の算式

控除金額の算式は、次の通りです。

税額控除 配偶者の控除額計算

配偶者の納税額がゼロとなる場合

①配偶者の相続財産が課税価格の合計額に対して法定相続分以下の場合

②配偶者の相続財産が1億6,000万円以下である場合

※配偶者の税額軽減制度の対象となる財産には、仮装又は隠蔽されていた財産は含まれません。

配偶者の税額軽減を利用するには

配偶者の税額軽減の適用を受けるには、原則として相続税の申告書にその適用を受ける旨及びその計算に関する明細を記載し、一定の書類を添付して申告する必要があります。
配偶者の税額軽減の適用を受けた結果、納付すべき税額がゼロの場合でも、相続税の申告書の提出が必要です。

税額控除 配偶者 必要書類

配偶者の税額軽減制度の適用における留意点

①配偶者の税額軽減措置の算式の配偶者の実際取得額には、相続税の申告書提出期限までに分割されてない財産は含まれません。しかし、遺産の全部についての分割が終わっていなくても、分割の確定したものがあれば、その分については税額軽減の措置を受けることができます。

②申告期限までに遺産が未分割であったことなどの事由により、配偶者の税額軽減の適用を受けられなかった場合でも、原則として相続税の申告期限から3年以内に分割が調えば、更生の請求等の手続で配偶者の納付すべき相続税額が減額されます。

税額控除 配偶者 救済措置

3.未成年者控除

未成年者控除とは

相続人が未成年者のときは、相続税の額から一定の金額を差し引きます。
未成年者控除は、未成年者が成人に達するまでの養育費や教育費を考慮して、講じられた措置です。

未成年者控除が受けられる人

未成年者控除が受けられるのは、次のすべてに当てはまる人です。

税額控除 未成年の要件

未成年者控除の額

未成年者控除の額は、その未成年者が満20歳になるまでの年数1年につき、10万円で計算した額です。

年数の計算に当たり、1年未満の期間があるときは切り上げて1年として計算します。

税額控除 未成年者控除 年齢の計算

平成26年12月31日以前の取扱
未成年者控除の額は、その未成年者が満20歳になるまでの年数1年につき「6万円」でした。

未成年者控除額が、その未成年者本人の相続税額から控除しきれない場合

なお、未成年者控除額が、その未成年者本人の相続税額より大きいため控除額の全額が引き切れないことがあります。この場合は、その引き切れない部分の金額をその未成年者の扶養義務者(※)の相続税額から差し引くことができます。
この場合、未成年者本人の税額がゼロだと、この規定は適用されませので、必ず未成年者本人にも遺産分割する必要があります。

(※)扶養義務者とは、配偶者、直系血族及び兄弟姉妹のほか、3親等内の親族のうち一定の者をいいます。

今回の相続以前の相続においても未成年者控除を受けているとき

その未成年者が今回の相続以前にも未成年者控除を受けているときは、控除額が制限されることがあります。

未成年者控除を利用するには

相続税申告書の該当箇所に必要事項を記載します。
添付書類等は、特にありません。

4.障害者控除

障害者控除とは

相続人が85歳未満の障害者のときは、相続税の額から一定の金額を差し引きます。
障害者控除は、障害者が満85歳に達するまでの生活費等を考慮して、講じられた措置です。

障害者控除が受けられる人

障害者控除が受けられるのは次の全てに当てはまる人です。

税額控除 障害者控除 要件

障害者控除の額

障害者控除の額は、一般障害者と特別障害者で異なります。

一般障害者と特別障害者それぞれの控除額は次のとおりです。

税額控除 障害者の区分

年数の計算に当たり、未成年者控除と同様、1年未満の期間があるときは切り上げて1年として計算します。

平成26年12月31日以前の取扱
障害者控除の額は、その障害者が満85歳になるまでの年数1年につき、「6万円」、特別障害者の場合は1年につき「12万円」でした。

障害者控除額を控除しきれない場合

なお、障害者控除額が、その障害者本人の相続税額より大きいため控除額の全額が引き切れないことがあります。この場合は、その引き切れない部分の金額をその障害者の扶養義務者の相続税額から差し引くことができます。
この場合、障害者本人の税額がゼロだと、この規定は適用されませので、必ず障害者本人にも遺産分割する必要があります。

今回の相続以前の相続においても障害者控除を受けているとき

その障害者が今回の相続以前の相続においても障害者控除を受けているときは、控除額が制限されることがあります。
【計算例】
相続又は遺贈により財産を取得した『特別障害者』が、前の相続の時に一般障害者として障害者控除を受けていた場合、今回控除を受けることができる金額を計算する場合。
{20万円×(85-Y)+10万円×(Y-X)}-A
Xは、前の相続、開始時の年齢
Yは、前の相続に係る相続税額の計算上障害者控除の規定の適用を受けた者の今回の相続開始時の年齢
Aは、前の相続に係る相続税額の計算上控除を受けた障害者控除額

障害者控除を利用するには

相続税申告書の該当箇所に必要事項を記載します。
添付書類等は、特にありません。

まとめ

相続税の税額控除のうち、「配偶者の税額軽減」、「未成年者控除」、「障害者控除」の3つをご紹介しました。

①配偶者の税額軽減
遺された配偶者の老後の生活保障、被相続人の財産の維持形成に対する貢献等を考慮して設けられました。
配偶者の相続した財産が、「法定相続分」又は「1億6,000万円までの額」であれば、相続税はかかりません。

②未成年者控除
未成年者の養育費や教育費等を考慮して設けられました。
相続人が未成年の場合、相続税の額から一定の金額を差し引きます。

③障害者控除
障害者の生活費等を考慮して設けられました。
相続人が85歳未満の障害者のときは、相続税の額から一定の金額を差引きます。

②未成年者控除と③障害者控除は、平成27年1月より、控除額が拡大されています。
この改正は、平成27年度税制改正で行われた、「相続税の基礎控除の縮小」、「相続税率の引き上げ」に対する緩和措置です。

相続税の税額控除は、相続税の計算において重要です。各制度のポイントをおさえておきましょう。

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